アスリートメッセージ
(写真提供:アフロスポーツ )
オリンピック初出場で女子柔道78kg超級優勝。同階級では日本に初めて金メダルをもたらし、日本中に感動の渦を巻き起こした第28回オリンピック競技大会(2004/アテネ)からもう2年。塚田真希選手はオリンピック金メダリストという肩書きに甘んじることなく邁進し続けている。
今年4月に行われた全日本女子選抜体重別選手権大会78kg超級で4連覇、皇后盃全日本女子柔道選手権大会では1987〜1992年に田辺陽子選手(現日本大学柔道部女子監督)が樹立した6連覇に次ぐ5連覇を達成した。
「アテネオリンピック前と後では勝つことに対する責任の重さが違うなと感じるようになりました。やはりチャンピオンとして見られることも多くなりましたし・・・」
文句のつけようのないチャンピオン街道を走っているように思われるが、塚田選手本人は「まだ真のチャンピオンになったとは思っていません」と言う。
「確かにアテネオリンピックで金メダルを獲得したことは自信になりましたが、先生たちからは練習などを自主的に任され、戸惑うことも多くなりました。オリンピック以前は先生たちの方からアドバイスを頂けていたのに、金メダルを取ってからは放っておかれているような気がして。調子が悪くても自分で考えて答えを出さなくてはいけない、と思うようになっていました」
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周囲から受ける高い評価と、自分自身が感じる実力に違いを感じていたという塚田選手。そんな中、2005年にエジプト・カイロで行われた第24回世界柔道選手権大会の準決勝で、中国のトウブン選手に『崩れ袈裟固め』で押さえこまれ、まさかの一本負けを喫し、銅メダルに終った。 しかしこの敗戦が意外にも塚田選手の中でくすぶっていた気持ちを払拭してくれた。
「私はチャンピオンといわれているけど、負けた事によって、真のチャンピオンじゃないのだと開き直れるようになりました。それに指導してくれる先生たちも私を信頼してくれているから、練習にも口を出さないでくれていたのだと。でも悩んだときは自分ひとりで抱えこまず、これからも先生に相談してもいいのだと思えるようになり、気持ちもふっきれ楽になれました」