本当に価値のある銅メダル ー 戦った相手へのリスペクトと温かいメッセージへの感謝（柔道・永山竜樹）

ガリゴス選手へのリスペクト

――永山選手、個人戦銅メダル、そして団体総合の銀メダル、おめでとうございます。

　ありがとうございます。

――個人戦の銅メダル獲得は柔道勢の初日でした。少し時間がたちましたが、素直なお気持ちをお聞かせいただけますか。

　金メダルを目指してやってきたので、そこに届かなくてやはり悔しい気持ちもあります。でも、敗者復活戦と3位決定戦では「応援してくれる人たちのためにも、手ぶらで帰るわけにはいかない」と思って必死に戦いました。本当に価値のある銅メダルだと思います。

――銅メダリストになって、周囲の反響もさまざまパリまで届いているかと思いますが、いかかでしょうか。

　すごく悔しい気持ちでいっぱいだったのですが、応援してくださった方々からの温かいメッセージのおかげで「銅メダルをとって良かった」という気持ちになれたので、本当に感謝しています。

――永山選手が敗れたフランシスコ・ガリゴス選手（スペイン）との試合は、審判から「待て」の声がかかった後も絞め続けたことで一本となり、審判の判定に関する議論や、その後のガリゴス選手に対する誹謗中傷などもあって、さまざまな形で大きな話題になりました。永山選手はガリゴス選手とのツーショット写真をSNSにアップされて、誹謗中傷をやめてほしいと訴えていましたが、ご自身はどのように受け止めていたのでしょうか。

　審判の判定や試合の結果に対してはまだ納得できていない部分もあるのですが、でもだからといって誰が悪いというわけでもありません。ガリゴス選手も必死に戦った結果、ああいうことになってしまったということだと思いますし、審判の方にしても判断の難しい状況だったと思います。ただ、今後こういうことが起きないように、ルールを考えてほしいという気持ちはあります。
　ガリゴス選手は本当に必死に戦った結果があのようになったわけですが、その後、誹謗中傷を受けることになってしまったので、自分もそこの部分はちょっと違うなと思っていました。そのような中で、ガリゴス選手と選手村で会って、コミュニケーションをとって、本当に悪意があってやったわけではないと伝わってきました。自分自身も抗議をしていて試合後に握手ができていなかったということもあったので、そうした自分たちの気持ちをお互いに伝え合いました。自分もガリゴス選手も人生を懸けて必死に戦った仲ですし、今後もリスペクトし合ってまた頑張れたらいいなという気持ちです。

貴重な経験を活かしたい

――畳を降りれば柔道を愛している仲間同士、国の壁を越えて心が通じ合い仲良くなれる。改めてお話を伺っていると、本当にオリンピック精神に則った言動だと感じます。

　オリンピックはそういう舞台だと思います。たしかに納得いかないこともあったのですが、こういう貴重な経験ができたことを今後の人生に活かしていきたいと思います。

――ぜひそうやって人生に活かしていってほしいと思いますし、私たちも永山選手の気持ちを語り継いでいきたいと思います。

　ありがとうございます。

――フランスは柔道がすごく盛んで、熱気もあったと思います。東京2020オリンピックは無観客で行われたのに対して、パリ2024オリンピックは有観客で、会場の皆さんが大声で歌っているなど今までに見たことのないような柔道会場でした。実際に戦っていた永山選手からすると、どんな雰囲気に映っていたのでしょうか。

　本当に歓声もすごかったです。パリでは国際大会も毎年あって、その時ももちろん盛り上がりはすごいのですが会場が広いんですよね。今回は会場がもっと狭かった分、より盛り上がっている感じで、また違った雰囲気でした。フランスの柔道人気が本当に伝わってくるような大会でした。応援の迫力がすごかったのですが、それで緊張するというよりは、その応援から力をもらって戦うことができました。

――気持ちが鼓舞されたということですね。お疲れもある中、このようなお時間をいただき、本当にありがとうございます。ますますのご活躍を期待しています。

　ありがとうございます。