パリ2024オリンピック出場権を獲得した五十嵐カノア選手。初出場にして銀メダルを獲得した東京2020オリンピックの振り返りと共に、パリへの想い、そして金メダル以上に大切にしたい夢を語る(2023年9月8日インタビュー)。
東京2020オリンピックはアスリートとして忘れられない経験だったので、次のパリ2024オリンピックでまたチャンスがあるというのはすごく嬉しい気持ちです。自分にとってもすごくモチベーションにもなりますし、オリンピックのプレッシャーはまたちょっと違う感じなので、東京2020オリンピックが終わったばかりなのにまたすぐパリ2024オリンピックが来るというのは、すごくありがたい気持ちで、金メダルを獲れるように頑張りたいと思います。
初めてのオリンピックということで自分自身どのような感じか全く分からなかったのですが、大会を行っている間に経験も積んで、また東京2020オリンピックの間にパリ2024オリンピックのことも考えていました。経験をするということは非常に大切で、メダルをちゃんと獲りたいということを自分でも思いました。その中で、少し違う感じがありましたが、想像していたよりもプレッシャーをすごく感じましたし、想像していたよりももっと難しかったです。でも、その難しさをすごく感じたことが、次のオリンピックに対してのモチベーションにもなっています。トップのレベルになるためには、どういう準備をしなければならないかが分かったので、来年のパリ2024オリンピックは東京2020オリンピックよりももっと準備できると思います。
オリンピック自体が普通の大会以上に、インテンシティ(激しさ、強烈さ)というか重たい気持ちがあって、アスリートにとってはこれが本物のプレッシャーなんだという気持ちでした。また、メディアのアテンション(関心)もいつもよりもっとすごかったですし、日本や世界中のファンからのサポートも強く感じました。ファンのサポートを力に変えるということもすごく勉強にもなったのですが、それを初めて経験したということがまた難しかった理由の1つなのかなと感じました。このことは東京2020オリンピックの最後の方にやっと理解してきたのですが、これによって次のオリンピックに向けてまた1つレベルアップしたなと自分でも思っているので、本当に次のパリ2024オリンピックを楽しみにしています。
思っていた以上にオリンピックはすごくインテンス(激しい、強烈)ということで、やはりいつも通りの準備もそうですが、そのプレッシャーに対してまた少し違う準備も必要なのかなと感じています。自分の体の準備は当たり前ですが、メンタルの準備もまた非常に大切だと思います。東京2020オリンピックで勉強したことを、次のパリ2024オリンピックで金メダルを獲れるようにするために細かく自分でもノートに記したので、あと10ヶ月ほど頑張りたいと思います。
東京2020オリンピックの経験によってメンタルもすごく強くなったと思います。プレッシャーをエネルギーに切り替える力を学びました。『自分のことに集中するというのは、周りのことに集中しないことで、自分がコントロールできることに集中する』ということをすごく感じたのですが、これが一番の勉強になったと思います。オリンピックだけではないですが、チャンピオンシップツアーのシーズンでもその経験を持ってきたことで、自分のコンペティター(競技参加者)としてのレベルアップに繋がったと思います。
世界のトップレベルで世界中が見ているイベントということで、日本の方もみんな見ているし、サーフィンのことを知らなくてもサポートをしてくれます。ですので、日本を肩に背負っているという気持ちはすごくあります。やはりオリンピックは特別なイベントで、その金メダルはアスリートとしてみんなが獲りたい目標だと思うので、そのチャンスがあるだけで本当に感謝の気持ちです。このまま日の丸を背負って、幸せな嬉しい気持ちを日本のファンの皆さんに伝えたいので、このまま頑張りたいと思います。
やはり家族のためというのもありますが、日本のファンの皆さんも、SNS等でいつもメッセージやサポートをしてくれる方もたくさんいるので、そのファンのためにも、やはり金メダルを獲りたいです。朝早く起きてくれて夜遅くまでサポートをしてくれるファンもたくさんいるので、そういう人のために、準備をして金メダルを獲れるチャンスを増やすように頑張っています。自分はやはり、アスリートとして海に入っているだけですごく嬉しいです。必死に毎日毎日、サーフィンをしているおかげで嬉しい気持ちがいっぱいあるので、その次は、みんなで一緒にメダルを見て、またその幸せを感じたいと思います。
オリンピックで金メダルを獲ることもすごく大切ですが、それ以外に人間として、いい人間、いい息子、いいお兄ちゃんであることの方がやはり一番大切なことです。それがメインで、その次が自分のサーフィンのことです。本当にサーフィンの目標もたくさんありますが、その前に人間として頑張りたいと思います。