-
意味
-
ミネソタ大学に併設されている女性スポーツ研究センター、タッカーセンターの所長であるLaVoiと共同研究者のDutoveは、2012年に女性コーチに関するさまざまな文献をまとめ、「女性コーチを取り巻くバリアとサポートのエコロジカル・モデル」を提唱した。
このモデルは、女性コーチが人間的に、そしてコーチとして専門的に発展していく上で直面するバリアとサポートを「個人のレベル(Individual)」、「対人間のレベル(Interpersonal)」、「組織のレベル(Organizational)」、「社会文化のレベル(Sociocultural)」の4つの領域に分類し、各領域で直面する課題(もしくは障壁もしくはバリア)とその課題をクリアするためのサポートについてまとめたものである。
「個人のレベル」とは、個人が持つ価値観や感情、生物学的・身体的な特徴を含むレベルである。「対人間のレベル」は、同僚や家族などの人間関係、また家庭や職場といった状況における領域である。「組織のレベル」は組織のポリシーや職務での決まり、機会を含む。最後に、「社会文化のレベル」には、社会規範や文化が反映される。女性役員がキャリアを通じて直面する課題のなかには、自身で解決できる課題だけではなく、組織や社会が変わっていかなければ解決されない課題も多い。
このように、「女性コーチを取り巻くバリアとサポートのエコロジカル・モデル」はどの領域にどのような課題とサポートが存在するかを視覚的に示すことによって、個人がそのバリアに適切に対処したり、組織が女性コーチを支援する戦略を検討し、作っていく際の指標としても役に立つといわれている。このモデルは女性コーチを対象としたモデルだが、スポーツ団体における女性役員にとっても、自己効力感の欠如や男性主権など、共通する課題が多い(LaVoi & Dutove, 2012)。
-
文献
-
LaVoi,N. M. and Dutove, J. K.(2012)Barriers and Supports for Female Coaches: An Ecological Model. Sports Coaching Review, 1(1):17-37.