会長の略歴
令和元・2年度会長就任所信表明
このたび、永年にわたりスポーツ界を牽引されてこられた竹田恆和前会長のあとを引き継ぎ、日本オリンピック委員会、JOC新会長に就任した山下泰裕です。来年は56年ぶりの自国開催のオリンピック・パラリンピック。大会を1年後に控えたこの時期に会長に就任する、その責任の重さを強く痛感しています。皆さまのご協力を得て全力を尽くす決意でいます。
退任されました竹田前会長の志を受け継ぎ、JOCのメンバーはもちろん、日本スポーツ界の皆さま、そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックに関わる多くの皆さまといっしょに、心を一つにして大会を成功に導いていかなければならないと考えています。
オリンピック・パラリンピックは世界最大のスポーツの祭典ですが、自国開催となる大会は国家プロジェクトでもあります。大会成功のために、JOCといたしましては、大会組織委員会をはじめ、東京都、スポーツ庁、日本スポーツ協会、日本スポーツ振興センター、日本パラリンピック委員会、そして加盟競技団体等々とこれまで以上に連携を密にし、協力しながら、いっしょに前に進んでいきたいと思っています。
残された期間は1年足らずですが、現場の選手、指導者の皆さんがやるべきことをやり尽くして、やり残すことなく、万全の準備をして大会に臨む。そして、大会においては、明るく生き生きとそれぞれの夢に挑戦し、その夢を現実のものとする。そのためにJOCがなすべきことは何なのか、我々にできるサポートは何なのか、そのことを真剣にもう一度考えながら、できる限り現場の選手、指導者をサポートしていきたいと思います。
我々が掲げた目標は金メダル30個です。日の丸を胸にあの晴れ舞台で戦う選手たちが日本代表としての誇りと自覚を持って、思いきり自分の夢に挑戦すれば、その目標達成は十分可能であろうと考えています。
一方、近年、スポーツ界の不祥事で、日本スポーツ界への信頼は大きく揺らいでいます。新会長として、JOCならびに各加盟競技団体のガバナンス、コンプライアンス、インテグリティの強化に真剣に取り組む必要があると思っています。
選手強化本部では、「人間力なくして競技力向上なし」をスローガンにこれまで活動して来ました。これは選手と現場の指導者に求めたものですが、今、新会長を拝命し、選手と現場の指導者だけではない我々自身、JOC本部の執行部がまず自らこれを実践していく必要があります。我々の人間力向上、これこそが日本スポーツ界の信頼回復にとって不可欠であろうと思っています。各加盟競技団体と協力しながら、インテグリティの充実にむけて真剣に取り組んでいきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
JOCには素晴らしい理念があります。これをお飾りにしてはいけない。私どもの一つひとつの行動が理念に照らし合わせてあっているのか、これを確認していきたいと思っています。スポーツ界がもっともっと果たすべき社会的使命、役割を自覚し行動する、オリンピックで勝つことだけがスポーツの力ではない、そうしたことを通して、スポーツの価値を高めていくことが必要であろうと考えています。例えば、国や地方自治体が様々な政策を検討する際に、スポーツの持つ力が活用される、そういう形にぜひもっていかなくてはならない。そのためにはもっともっとJOCが成長しなければならない。社会にとって不可欠な存在として、その意義を高めていかなくてはならない。それは2020年以降の我々JOCの大きな課題であろうと思っています。
私は自分の力量については自分なりに理解しているつもりです。私の見識の程度も自分なりに把握しているつもりです。私一人でできることは限られています。今回、新たに就任した役員とともに、それぞれの役割と責任を明確にして、1つのチームになって2020年に向けて、そしてポスト2020に向けて努力を重ねていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
令和元年6月
公益財団法人日本オリンピック委員会
会長 山下泰裕