写真:ロイター/アフロ
セーリングは海面で実施され、自然環境によって大きく試合展開を左右される競技の一つです。レースは、海面に設置されたマークと呼ばれるブイを決められた回数、決められた順序で回りながら、フィニッシュラインまでの着順を競うものです。種目は使用する艇(ヨット)の種類によって分けられ、どの種目もフィニッシュの順位の高いチームほど低い点数がつきます。このレースを10〜12回行い、その合計点数の低い10艇が「メダルレース」または「メダルシリーズ」と呼ばれる最終レースを戦うことができます。このメダルレースで最終順位とメダリストが決まります。
パリ2024大会では、男女それぞれ4種目と、混合2種目が実施されます。種目の主な違いは競技で使用される艇の種類の違いで、各種目の全ての選手はデザインに違いがない同じモデルの艇を使用しなければなりません。
男子
一人乗りディンギー種目 ILCA7級(旧名称:レーザー級)
二人乗りスキフ種目 49er級
ウインドサーフィン種目 iQフォイル級(新種目)
カイトボード種目 フォーミュラカイト級(新種目)
女子
一人乗りディンギー種目 ILCA6級(旧名称:レーザーラジアル級)
二人乗りスキフ種目 49erFX級
ウインドサーフィン種目 iQフォイル級(新種目)
カイトボード種目 フォーミュラカイト級(新種目)
混合
二人乗りディンギー種目 470級(新種目)
二人乗りマルチハル種目 ナクラ17級
セーリングの見どころの一つは、全員が一斉にスタートするダイナミックな競技形式です。海面を一斉に滑り出し、最初のマークへの先頭争いが激しく繰り広げられる瞬間は見逃せません。最初のマークを回航すると、各船が一定の順位を確立し、縦に広がった船団がフィニッシュラインに向かってしのぎを削る戦いが展開されます。環境の変化、他の船との位置関係、自艇のコンディションなど、変動する様々な条件を計算し、臨機応変に戦術を構築する頭脳と、それを実行に移す技術が必要です。セーリングは他の艇との戦いだけでなく、波の高さや潮の流れ、風の強さなど大自然との戦いでもあります。選手たちは自然を味方につけるセッティングやテクニックで勝利を掴みます。強靭な肉体と精神力を備えた選手たちのダイナミックな戦いに注目しましょう。
ベルリン1936大会で初出場して以降、日本が獲得したメダルはアトランタ1996大会で重由美子選手と木下アリーシア選手のペア(女子470級)が獲得した銀メダルと、アテネ2004大会で関一人選手と轟賢二郎選手のペア(男子470級)が獲得した銅メダルの2つです。2023年に開催された杭州アジア大会では、岡田奎樹選手と吉岡美帆選手のペアが混合470級で金メダルを獲得。混合470級はパリ2024大会で新たに追加される種目でもあり、躍進が期待されます。
■日本チームの有力選手
注目選手は男女混合ディンギー種目470級の岡田奎樹・吉岡美帆組。2023年の世界チャンピオンであり、2024年も世界選手権で表彰台に立った実力を持ちます。岡田奎樹選手は男女別種目だった東京2020大会に続き2度目、吉岡選手はリオ、東京に続き3度目のオリンピック出場となり、パリ2024大会では同種目の金メダル候補として他国からも注目されています。
女子スキフ種目の田中美紗樹・永松瀬羅組は、杭州アジア大会で銀メダル、男女混合マルチハル種目の飯束潮吹・西田カピーリア桜良組は同じく杭州アジア大会で銅メダルを獲得しています。男子ウインドサーフィン種目の富澤慎選手は、オリンピック最終予選のラストチャンスレガッタにて大逆転で優勝し、パリ行きの切符を手にしました。
■他国・地域の有力選手等
セーリング競技の強豪国はイギリス、アメリカ、ノルウェー、フランスなど。日本がメダル獲得を狙う男女混合ディンギー種目でライバルとなりそうなのは、スペイン、スウェーデン、そして地元フランスなど。スペインチームのJordi XAMMAR HERNANDEZ(男子470級3位)、スウェーデンチームのAnton DAHLBERG(男子470級2位)、フランスチームのCamille LECOINTRE(女子470級3位)はそれぞれ、東京2020大会でメダルを獲得している実力者です。
競技初回実施大会 | パリ1900大会 |
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TEAM JAPAN初出場大会 | ベルリン1936大会 |
競技別累計メダル数 |
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2024年8月21日時点
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