写真:アフロスポーツ
レスリングには「グレコローマンスタイル」と「フリースタイル」の2つの種目があります。大きな違いは、「攻撃が許されている範囲」にあり、グレコローマンは相手の腰から下を掴むことは禁じられていますが、フリースタイルでは体のどの部分を攻撃してもよく、足や腕を使ってライバルの足をホールドすることも可能です。パリ2024大会では、男子はグレコローマン6階級(60kg級、67kg級、77kg級、87kg級、97kg級、130kg級)とフリースタイル6階級(57kg級、65kg級 、74kg級、86kg級、97kg級、125kg級)が、女子はフリースタイル6階級(50kg級、53kg級 、57kg級、62kg級、68kg級、76kg級)が実施されます。
レスリングの試合は、9mの円形マットで行われます。現行の規定では3分×2ピリオドの試合が行われ、ピリオド間には30秒の休憩が挟まれます。相手を組み伏せて両肩を1秒間マットにつけると、その瞬間にフォールとなり、試合は終了となります。フォールが達成できない場合にはポイントで勝敗が決まります。グレコローマンスタイルでは8点差、フリースタイルでは10点差がついた場合、その時点で試合終了となります(テクニカル・フォール)。また、フリースタイルでは相手が3回警告を受けると、即座に試合終了となります。グレコローマンスタイルでは、レグファウルが2回目に犯された時点で反則者が敗者となります。警告は消極的な姿勢や反則に対して与えられます。ポイントはさまざまな技に応じて1点、2点、4点、5点などが設定されています。例えば、相手の足が場外に出た場合は1点、寝技の状態で相手の背後に回り込んで頭部と両手両足のうち3つをマットにつけた場合は2点、腹ばいの相手に後ろから組みついて90度以上回転させた場合は2点、立った状態からの投げ技は4点、寝技の状態からの投げ技は5点などがあります。
グレコローマンスタイルは、上半身を使った組み合わせやダイナミックな投げ技が豊富で、本来の格闘技らしい迫力が魅力となっています。一方、フリースタイルは主に相手のバランスを崩すことを基本とし、高速で展開される技の攻防が注目されます。試合が残りわずかで負けている状況でも、相手の一瞬の隙間を突いてタックルを決め、見事なフォール勝ちや投げ技によるテクニカル・フォール勝ちを果たす瞬間には、観客から歓声と拍手が湧き起こります。
日本は東京2020大会までに37個の金メダルを含む76個のメダルを獲得しており、世界でも有数のレスリング大国となっています。特に女子はアテネ2004大会で採用されてから東京2020大会までの5大会で15個の金メダル獲得という驚異的な成績を収めています。東京2020大会では男女合わせて金メダルを5個含む7個のメダル、2023年に開催された杭州アジア大会でも5個の金メダルを含む12個のメダルを獲得しており、パリ2024大会でも活躍が期待されます。
■フリースタイル
樋⼝ 黎
57kg
2023年世界選手権2位、2016年リオデジャネイロオリンピック銀メダル
清岡 幸大郎
65kg
2024年パリオリンピック・アジア予選優勝、2023年ダン・コロフ-ニコラ・ペトロ
フ国際大会優勝
高谷 大地
74kg
2023年世界選手権3位、2023年アジア選手権3位
石黒 隼士
86kg
2024年アジアオリンピック予選優勝、2023年アジア選手権3位
■グレコローマン
文田 健一郎
60kg
2023年世界選手権2位、2021年東京オリンピック銀メダル
曽我部 京太郎
67kg
2024年アジアオリンピック予選優勝、2023年アジア選手権3位
日下 尚
77kg
2024年アジア選手権優勝、2023年世界選手権3位
■女子レスリング
須﨑 優⾐
50kg
2023年世界選手権優勝、2021年東京オリンピック金メダル
藤波 朱理
53kg
2023年世界選手権優勝、2023杭州アジア大会金メダル
櫻井 つぐみ
57kg
2023年世界選手権優勝、2023杭州アジア大会金メダル
元木 咲良
62kg
2024年アジア選手権優勝、2023年世界選手権2位
尾﨑 野乃香
68kg
2023年世界選手権優勝
鏡 優翔
76kg
2023年世界選手権優勝
競技初回実施大会 | アテネ1896大会 |
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TEAM JAPAN初出場大会 | パリ1924大会 |
競技別累計メダル数 |
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2024年8月21日時点
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