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2015.04.28 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:川崎市への説明会を実施

JOCの就職支援「アスナビ」:川崎市への説明会を実施
アスナビ説明会でプレゼンテーションをした選手たち。後列左から中川選手、宇山選手、畑辺選手、藤井選手。前列左から押切選手、久良知選手、齋藤選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:川崎市への説明会を実施
福井烈JOC理事(左)、福田紀彦川崎市長(写真:アフロスポーツ)

 公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)は4月16日、川崎フロンティアビル(神奈川県川崎市)で、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。
 アスナビは、オリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、企業の就職支援を呼びかける活動。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに47社65人(内定者含む、2015年4月6日時点)の採用が決まりました。

 今回の説明会は、川崎市、川崎商工会議所、川崎市スポーツ協会との共催で行われ、51企業・団体72人が参加しました。

 JOCと川崎市は3月30日、「JOCパートナー都市協定」を締結。冒頭あいさつに立った福井烈JOC理事は、2020年東京オリンピック、パラリンピック開催決定後では初めてのパートナー都市となった川崎市について、「川崎市は全国で18番目のパートナー都市となりました。また、川崎マリエンのビーチバレーコートはJOCの認定競技別強化センターとしても運用されております。今回そうしたご縁もありまして、川崎市で初めてアスナビ説明会を開催させていただくことになりました」と開催にあたった経緯を説明。そして、アスナビについて、「トップアスリートが世界のひのき舞台で活躍するためには練習環境のみならず、経済的な観点からも安心して競技に打ち込む環境が必要不可欠です。5年後の2020年東京オリンピック・パラリンピックを大成功に導くためには、皆さまのサポートを含めてチームジャパンとして総力を結集することが必要だと考えております」とアスリートの就職支援への協力を仰ぎました。

JOCの就職支援「アスナビ」:川崎市への説明会を実施
山田長満川崎商工会議所会頭(左)、齊藤義晴公益財団法人川崎市スポーツ協会会長(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:川崎市への説明会を実施
朝日健太郎さん、成田真由美さん(写真:アフロスポーツ)

 福田紀彦川崎市長は「トップアスリートは突然に誕生するのではなく、地道な毎日の積み重ね、練習があって誕生しています。華やかな世界に見えて、実は非常にシビアな世界です。一人でも多くのアスリートの皆さまを採用していただいて、川崎の企業の皆さまからオリンピックに(選手を)送り出していただくように心からお願い申し上げます」と集まった企業関係者に呼び掛けました。続いて山田長満川崎商工会議所会頭は「今日この場で(採用を)決められなくても、明日以降に検討し、全員ご採用していただきますようによろしくお願いいたします」、齊藤義晴公益財団法人川崎市スポーツ協会会長は「優秀な選手を育てる街としてぜひ御協力をいただきたいと思います」と、ひとりでも多くの採用につながるよう、思いを込めて語りました。

 トップアスリートによる体験談には、ビーチバレーで北京、ロンドンの両オリンピックに出場した朝日健太郎さんと、パラリンピック競泳で4大会に出場し金メダル15個を獲得した成田真由美さんが登壇しました。
 朝日さんは大学卒業後、6人制バレーで企業チームに所属し日本代表として活躍。その後、2002年にビーチバレーに転向、アスナビを通じて2011年7月に株式会社フォーバルに就職しました。就職前の競技、生活環境は「自分で資金を獲得し、ひいひい言いながらやっていました。(日本代表として)海外遠征は協会の遠征費をまわしていただきましたが、ただ“米みそ”がない」と資金的には常に綱渡りの状態。しかし、バックアップを得られたことで、資金面はもちろん、会社の仲間、会長からの応援に精神面でも強く支えられたと、現役当時を振り返りました。
 川崎市出身、在住の成田さんは、自身が通っているスイミングクラブでのエピソードとして、「スイミングに通って20年。いまだに(入口が)スロープにならないところが、(むしろ)心のバリアフリーだなって思います。『自分ができることは自分でしたい』という私の気持ちをくみ取ってくれてるんだと思います」と話し、周囲の理解がだんだん広がっていった様子を伝えました。パラアスリートの採用についても、「障害を持っていてもできることはたくさんあると思うんです。私たちが持っている可能性を、会社を通して選手としても見いだしていけたらなと思います」と、“心のバリアフリー”意識の広がりに期待を寄せました。

JOCの就職支援「アスナビ」:川崎市への説明会を実施
採用事例発表に登壇した浅野弘富副社長(左)と村上斉選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:川崎市への説明会を実施
川崎市の51企業、団体72人が説明会に参加(写真:アフロスポーツ)

 採用実績企業による事例発表では、株式会社ADI.Gの浅野弘富副社長が登壇。同社では2014年2月25日付けでビーチバレーの村上斉(ひとし)選手を採用しています。浅野副社長は、アスリート採用を検討した理由を「2020年東京オリンピック・パラリンピックの盛り上げに関わりたいと思ったこと」「企業イメージの刷新」「社内の共通意識や一体感を高めること」と3つ挙げました。
 実際に村上選手の入社は、「村上に対する興味が我々ADI.Gへの興味に変わり、新規のお客様とも取引や商談につながって大きな成果となっております」と営業活動にも貢献。「村上がお客様に喜ばれているところを見るにつれ、社員もモチベーションが上がっているように感じます」と、アスリート採用によるメリットを実感している様子でした。

 村上選手自身も説明会に出席。入社前はアルバイトと競技の両立で体調を崩したこともあったという村上選手は、「仕事のキャリアを積みながら競技に集中できる今の環境は、競技はもちろん人生においても大きいものです。入社後は生活面、メンタル面でとても安定して、入社前にはとても届かないと思っていた(2016年の)リオデジャネイロオリンピックを目指す日本代表候補に入ることができました」と、就職できたことで競技者としての未来が広がったことを話しました。そして、「会社のバックアップはもちろん、会社の看板を背負っているという自覚、すなわちユニホームに入っている自分の名前よりも腕章や短パンに入っている(会社名の)『ADI.G』という文字の重みが自分を強くしてくれています」と力を込めました。

 説明会の最後には、八田茂JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが司会進行役を務め、就職を希望する現役アスリート7選手によるプレゼンテーションが行われました。選手たちは、企業関係者の前で堂々と自己PR。出席者の中には、「素晴らしいスピーチだったね」と笑顔で会場を後にする姿も見えました。

JOCの就職支援「アスナビ」:川崎市への説明会を実施
押切雄太選手(左)、中川貴哉選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:川崎市への説明会を実施
久良知選手(左)、齋藤選手(写真:アフロスポーツ)

■押切雄太選手(競泳)
「大学3年で迎えた日本選手権で強豪選手に競り勝ち、世界大会の代表に選ばれました。しかし大会では世界の壁を感じ、戦うことの厳しさを実感。それは私にもう一度世界の舞台で戦う覚悟を決めさせました。
 私は決して器用な選手ではありません。しかしながら、最後まで諦めず、日々努力を積み重ねることで成果を出してきました。会社にどのように貢献していくかを考えたとき、高い目標を持ちアスリートとして結果を出すことと、企業が結果を出すことに共通点を見出したいと思います。感謝の気持ちを常に持ち続け、企業で働くことで私自身の成長にもつなげていきたいと思います」

■中川貴哉選手(テコンドー)
「私は2013年3月の全日本大会で優勝して以来、国内大会では負けなしです。世界最大の規模を誇るUSオープンでも準優勝という結果を出しました。リオデジャネイロオリンピックに出場する可能性は十分に高いと思います。次のオリンピックでテコンドー男子初のメダルを獲得し、日本のオリンピックの歴史に新たな1ページを刻みたいと思っております。
 ルールの変更に合わせて戦い方を柔軟に変えていけるのも私の強みです。社内業務においても創意工夫や柔軟な対応力を発揮したいと思います。応援していただける企業がありましたら、広く社会に対し果敢に挑戦するアスリート魂を伝えていけたらと思います」

■久良知美帆選手(フェンシング)
「私は中学卒業と同時にフェンシングを本格的に始めました。競技歴が少ない分、どこで差を縮められるのか、自分なりに努力してきました。その集大成として高校3年のインターハイで優勝できたことは、大きな自信につながりました。エリートアカデミーの総キャプテンを務めさせていただいたこともありがたい経験になりました。
 もし入社しましたら、限られた時間の中ではありますが、競技だけでなく、ご採用いただけた企業に少しでも貢献できるように自分で考えて行動していきたいです。そしてリオデジャネイロオリンピック出場、東京オリンピックでのメダルを目指して頑張っていきたいと思います」

■齋藤悠選手(スケート・ショートトラック)
「私は国体や全日本学生選手権大会での優勝経験があり、世界の舞台ではユニバーシアードで6位に入賞しております。
 昨年はスケート競技の学生連盟で委員長を務め、学生主体の多くの大会を運営。事前の段取り確認と共有、全体を俯瞰(ふかん)で見て把握することを実践してきました。常に情熱とゴールビジョンを持ち、周りとのコミュニケーションを大切にしながら業務にあたりたいと考えております。感謝の気持ちを胸に、オリンピックでのメダル獲得を目指し、使命感を持ちながら、夢を追う姿を皆さんにお見せできるよう一生懸命頑張ります」

JOCの就職支援「アスナビ」:川崎市への説明会を実施
宇山選手(左)、畑辺選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:川崎市への説明会を実施
藤井選手(写真:アフロスポーツ)

■宇山賢選手(フェンシング)
「私の目標は2016年のリオデジャネイロオリンピックを通過点とし、2020年の東京オリンピックに出場し、メダルを獲得することです。団体種目には4人の選手が出場できるのですが、今その4人のメンバーに私は入っています。ぜひともこのチャンスをつかみたいです。
 もし私にチャンスをいただけたならば全力のプレーを持って恩返しをしたいと思います。また、企業様の採用活動における会社説明会やセミナーなどで自身の経験を話すことでお役に立ちたいと思っております。私は明日からでも働けます。どうぞよろしくお願いします」

■畑辺純希選手(ビーチバレーボール)
「大学卒業後、日本代表候補として活動しています。様々なアルバイトを通して色々な方と出会い、経験をして学ぶことはありました。それでも、生活が安定する状況ではありませんでした。競技では現在、日本個人ランキング3位の位置につけています。さらに世界で勝てるチームを作り上げたいと思います。
 現在の練習拠点はここ川崎市の川崎マリエンです。スポーツの力で川崎を元気にしたい。そのために、企業の皆様にサポートをお願いしたいです。会社に刺激を感じさせ活性化につながる存在になりたいと思います」

■藤井桜子選手(ビーチバレーボール)
「(国際大会の経験で)海外の選手との差を感じ、自分を成長させるためにアメリカ留学をしました。アメリカでは短期集中トレーニングや科学的な分析からの作戦立てを、逆に日本人プレーヤーとしての強みを見つけました。
 オリンピックまでの道のりに近道はなく、一瞬一瞬の行動やプレーが全てオリンピックにつながると思います。私はここ川崎マリエンで練習をしています。ここで活動することにより、地域の皆様にビーチバレーを身近に感じていただければと思います。また、私の活躍で会社の宣伝効果を高めて貢献したいです」

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