日本オリンピック委員会(JOC)は11月15日、JOCパートナー都市である福岡県の福岡県立スポーツ科学情報センター(アクシオン福岡)で「JOCオリンピアン研修会」を開催しました。
JOCアスリート専門部会が中心となって開催しているこの研修会は、オリンピアン自身がオリンピズムやオリンピックの価値をあらためて学び、アスリート間のネットワーク構築を進めることにより、JOCの諸事業を含めたオリンピック・ムーブメント推進につなげるとともに、参加者自身の今後の活動に役立てることを目的としています。
過去の研修会に参加したオリンピアンも要望していた、東京以外の都市での開催が今回初めて実現。九州、四国、中国地区を中心としたオリンピアン16名、パラリンピアン6名が参加しました。
■4つのテーマから学ぶオリンピック
参加者の自己紹介に続き、第1部は「オリンピックをもっと知ろう」というテーマで、フェリス女学院大学の和田浩一教授の講義が行われました。
はじめに、近代オリンピックの問題点、国際オリンピック委員会(IOC)の方向性、オリンピックの価値(卓越性(エクセレンス)、友愛(フレンドシップ)、敬意・尊重(リスペクト))、オリンピック精神の教育的価値や新学習指導要領の内容について触れ、オリンピックの過去と現代の違いについて、1900年パリ大会などの映像や、近代オリンピックの創立者であるピエール・ド・クーベルタンの当時のスピーチ(声音)なども交えて紹介。その後、「オリンピックは面白い!」「近代オリンピックの誕生」「クーベルタンから嘉納治五郎へ」「自分のオリンピズム」という4つのサブテーマに沿って、オリンピックの歴史やクーベルタンと嘉納の共通点、オリンピズムに対する考え方等を解説しました。
■知っておきたいパラリンピックの基礎知識
第2部は「アスリートとして知っておきたいパラリンピック基礎知識」と題し、JOCアスリート専門部会オブザーバーでもある、河合純一日本パラリンピアンズ協会会長が、パラリンピックという言葉を最初に使用した大会が1964年東京大会であったことをはじめ、大会の歴史や、現在チケットのセールスから見ると、世界で3番目に注目度の高いスポーツイベントとなっている大会規模、「勇気」「強い意思」「感動」「平等」の4つからなるパラリンピックの価値などを解説。スポーツを通じて社会意識の向上を促す役割を果たすこと、全ての人が尊重され、平等な機会を得られるような公平な社会を目指すこと、最終目標はパラリンピック選手が最高レベルの競技スポーツに取り組めるようにすること、世界に感動と興奮をもたらすこと、という「パラリンピック・ムーブメント」を分かりやすく紹介しました。
■2020年に向けてアスリートがすべきこと
第3部は田辺陽子JOCアスリート専門部会副部会長がコーディネーターとなり、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けてオリンピアン・パラリンピアンがすべきこと」をテーマに、グループディスカッションが行われました。
4つのグループに分かれた参加者は、オリンピアン・パラリンピアンならではの視点からそれぞれが積極的に意見を交換。後半各グループのまとめを発表する際には、「国際総合競技大会の解団後に選手同士が触れ合う機会を増やす」「SNSを活用してオリンピアンがつながる」など、オリンピアン・パラリンピアン同士のつながりを深めることの大切さや、東京以外の都市から盛り上げる活動の重要性、オリンピズムやオリンピックの価値はコーチも知っておくべきであり、コーチを対象とした研修会の必要性等、さまざまな提案が寄せられました。
最後に田辺副部会長が「今回寄せられた意見を、アスリート専門部会を通して一つでも具現化できるような形にしていきたい。また、今後他の地域でも同様の研修会を開催するためにも、この研修会を多くの人に広めてもらうことでネットワークを拡大し、それを2020年の東京大会へもつなげたい」と締めくくり、研修会は終了しました。
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