日本オリンピック委員会(JOC)は27日、味の素ナショナルトレーニングセンターで「平成26年度JOC国際人養成アカデミー開講式」を開催しました。このアカデミーは、JOCゴールドプランの長期的国際競技力向上戦略の一環として位置づけられており、競技力向上につながる組織、人、財政などにおける国際力の強化を見据え、将来国際スポーツ組織等の政策決定過程に関与できる、あるいは国際的な折衝において活躍できる人材の育成を目的としています。
4年目となる今回のアカデミーは、JOCやJOC加盟競技団体等から推薦された、過去最多の新規27名を含む計43名が受講。開講式には受講生とアカデミーのスクールマスターや講師、競技団体関係者らが参加しました。
冒頭、青木剛JOC副会長兼専務理事があいさつに立ち、「4年目を迎えた今年度はさらに充実したカリキュラムを用意しています。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて各競技のスポーツマネージャーが必要とされている現状を鑑みると、皆さんが国際的に活動するフィールドがますます広がっていくと思います。ぜひアカデミーを最大限に活用し、その経験がさらなる飛躍の場となるよう願っています」と述べました。
文部科学省の坪田知広スポーツ・青少年局競技スポーツ課長は来賓あいさつで「日本人は実直に努力をしてものづくりをしてきましたが、ルールを作る側には立っていません。国際競技大会の運営や、国際的に通用する競技ルールを作っていくところにどんどん参画することによって、さまざまな貢献をしていく必要があります」と、今後求められる人材について説明。
そして、「充実したプログラムを体感し、身に染みるまで技術を得ることによって、海外に出た際、いろいろな枠組み作りやルール作りに参加できる人材になっていくことを願っておりますし、きっとそうなるだろうという期待を持っております」と受講生を激励しました。
基調講演では、ハブ・グメル国際オリンピック委員会委員が登壇。ナイジェリアオリンピック委員会会長をはじめ、ナイジェリアやアフリカのスポーツ組織で要職を歴任し、現在東京オリンピック競技大会(2020年)の調整委員を務めているグメル委員は、受講生を前に「アスリートもあなた方も全員が日本のアンバサダーです。行動で国のイメージやアイデンティティーが決まるので、言動に気を配り、良きアンバサダーにならなければいけません」と英語で述べ、国際スポーツ組織で活躍するための心得を伝えました。
次に、今回のアカデミーの主な講師役となるスクールマスター3名が紹介されました。国際卓球連盟会長アドバイザーを務める木村興治JOC名誉委員は「さまざまな面で苦労が多いと思いますが、それだけにこのアカデミーで獲得できることは多いと思います。新しい知識、経験、実践力、そういういものが必ず皆さんの血となり肉となると確信しています」と力強く語り、国際スキー連盟理事の村里敏彰JOC国際専門部会副部会長は「知識や情報を得ても、受け皿がなければ“ザル”になってしまいます。大会の競技運営をリーディングしていくためには、幅広い知識を持って、受け皿をまず一歩一歩アップしていくことが大切です。皆さんが伝えるべきことをアカデミーでぜひ共有し合いましょう」と呼びかけました。
そして、国際トライアスロン連合理事を務める大塚眞一郎JOC理事は「これからの国内競技連盟(NF)の事務局運営にはボランティアではなくプロが必要です。皆さんにはそういうプロになって頂きたい。プロとはどうあるべきか、このアカデミーで学んで下さい」と締めくくりました。
最後に、コミュニケーション実習で講師を務めるベルリッツ・ジャパン株式会社のシリル・デスランドさんが登壇しました。デスランドさんは本アカデミーを「刺激的な旅」と例え、「研修室で、皆さんは現実に起こり得る複雑な状況と、何度も向かい合うことになります。しかしそれら全てがグローバルビジネスに取り組む助けとなるでしょう」とエールを送りました。
アカデミーは11月上旬まで週末を中心に行われます。受講生たちは世界のスポーツに関する基礎知識やスポーツ外交などの講義を受けるほか、ロジカルシンキング、プレゼンテーションなどのコミュニケーション方法を英語で学び、最後にアセスメント(修了試験)を受験。各カリキュラムを通じて、国際力向上を目指します。
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