日本オリンピック委員会(JOC)は3日、味の素ナショナルトレーニングセンターで「平成25年度JOC/NF(国内競技団体)国際担当者フォーラム」を開催しました。今回は2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、国内外に対して日本のスポーツ界が果たすべき約束・役割について考えることを目的に行われました。特に世界的な課題となっている「スポーツと暴力」については、海外の専門家による講演を通じて、日本が取り組むべき方策を学ぶ機会となり、会場にはJOCとNFの関係者ら112名が集まりました。
齋藤泰雄JOC常務理事兼国際専門部会長からの開会挨拶の後、竹田恆和JOC会長が来年2月までに設立される2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会(TOCOG)の組織形態を説明しました。また、7年後の大会に向けて、「大会基本計画の策定」「大会運営のために必要な経験の蓄積」「金メダル数3位、メダル獲得総数5位という目標に向けた選手強化」の3点について、各NFの協力を呼びかけました。
■スポーツ界における暴力根絶を海外の事例から学ぶ
次に「スポーツにおけるいじめと暴力」というテーマで記念講演が行われ、ロンドンオリンピック・パラリンピック組織委員会で柔道の競技担当者を務めたマイケル・J・カレン氏と、フランス柔道連盟副会長のミッシェル・ブルース氏が講演しました。
はじめに、カレン氏が競技の現場における暴力・いじめの原因、その解決方法について海外の事例を用いて紹介。「いじめの原因は複雑ですが、主な要因は、加害者と被害者の間にある不均衡な力関係にあります」と指摘しました。
続いて、ブルース氏が登壇し、スポーツの進化は暴力を排除する歴史であったと語りました。そして実例を踏まえ、暴力排除のために指導者に対する教育が重要であると述べ、「もし、コーチが選手を殴るような事態があれば、それはコーチが他の解決策を見つけられず、自分の弱さを隠している行為にすぎません」と断言。スポーツ界からの暴力根絶を訴えました。
■国際スポーツ界への貢献、交流について議論
JOC国際専門部会の村里敏彰副部会長によるコーディネートのもと、「国際スポーツ界への貢献〜toward and beyond 2020〜」と題したディスカッションが行われました。
まず、文部科学省スポーツ青少年局・競技スポーツ課国際スポーツ室の浅野敦行室長が登壇。9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で安倍晋三首相が、全世界に対して約束した「Sport for Tomorrow(スポーツ・フォー・トゥモロー)」について内容を明らかにしました。
続いて、中森康弘JOC国際部長はJOCが取り組んでいる国際事業を報告。JOCは2011年8月の時点で、29の国内・地域オリンピック委員会とパートナーシップ協定を結び、様々な国際交流事業に取り組んでいることを紹介しました。
また、平成25年度のJOC国際人養成アカデミーの修了式も行われ、今年度の修了生22名のうち14名が出席し、福井烈JOC理事兼JOCゴールドプラン委員会委員長から修了証を受け取りました。
最後に青木剛JOC副会長兼専務理事があいさつに立ち、生前、高い国際力を発揮し、日本のスポーツ界に多大なる貢献をした故・古橋廣之進JOC元会長のエピソードを披露し、「時が経っても国際担当者の役割は数多くあり、これからその力はより求められます」と述べ、今年度のフォーラムを締めくくりました。
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