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2010.11.10 その他活動

2010JOC女性スポーツフォーラムを開催、スポーツ界における女性リーダーの更なる増加と前進について考える

2010JOC女性スポーツフォーラムを開催、スポーツ界における女性リーダーの更なる増加と前進について考える
挨拶をする平松委員長
2010JOC女性スポーツフォーラムを開催、スポーツ界における女性リーダーの更なる増加と前進について考える
猪谷JOC理事

女性とスポーツに関する課題をJOCと各競技団体が共有し、解決に向けたネットワークをつくろうと、「2010JOC女性スポーツフォーラム」を10月25日、味の素ナショナルトレーニングセンターで開催しました。各競技団体の関係者など約50人が参加。スポーツ界における女性の活躍について考える良い機会となりました。

フォーラムの開会にあたり、JOC女性スポーツ専門委員会の平松純子委員長は「女性アスリートが引退したあとも活躍する受け皿を考えるのも私たちの役割です。また2010IOC助成スポーツ賞にアジアから有森裕子さんが選ばれました。素晴らしい目標の人がいることは嬉しいことです」とあいさつ。IOC助成スポーツ委員会委員も務める猪谷千春JOC理事は「女性の地位向上に積極的に取組もうと、1996年にIOCは女性スポーツ委員会を設置しました。JOCは、年に1回は理事会と合同会議を開き、委員会の活動を理解してもらうような取り組みをしていくことが必要だと思います」と述べました。

2010JOC女性スポーツフォーラムを開催、スポーツ界における女性リーダーの更なる増加と前進について考える
基調講演を行う宮嶋さん

■宮嶋泰子氏、第1部:基調講演「組織の中の女性」

続いて、スポーツ界にも深く関わりのあるテレビ朝日の宮嶋泰子さんによる基調講演「組織の中の女性」が行われました。宮嶋さんはまず「自分が人より優れていると思う点は何?」という質問を参加者に投げかけました。参加者は「選手の気持を分かってあげられる」「ポジティブなところ」など回答。すると宮嶋さんは「スポーツの現場でそれぞれが自己と戦ってきたことで、自分を見る目がしっかりしている方々ばかりですね。しかし一方で、それは『私が一番正しい』と思いがちになります。一般の会社以上に、スポーツの場合は一番になりたい人が集まり、足の引っ張りあいにもなりかねない。その気持を読んで、どこが悪いか瞬時にみて直していくのがコーチの役割になります」と話しました。

また、女性は組織に向かないのか?といった疑問を投げかけた上で、「会社や組織にいると、組織のための仕事をしなければなりません。しかしスポーツは職人集団なので、それぞれに自信がある。誰もが組織のマネジメントを勉強し、『交渉、会議の進め方、決断』などを経験を通して身に付けていくことが大切です」と訴えました。

2010JOC女性スポーツフォーラムを開催、スポーツ界における女性リーダーの更なる増加と前進について考える
第2部で行われたパネルディスカッション。それぞれの意見を述べた(左上から)森岡氏、小谷氏、田辺氏、知念氏

■第2部:パネルディスカッション「スポーツ文化発展に資する女性リーダー」

まず冒頭に国際武道大学准教授の佐藤正伸氏が、JOC委嘱女性強化スタッフや競技団体を対象にしたアンケート調査(2010年8月実施)の結果について報告。スタッフ自身は「今後もJOC委嘱女性強化スタッフを続けていきたい」が92%と多いのに対し、「(さらに)中核的な役割を担いたい」は51%と少なく、女性リーダーへの意欲は現段階では決して高くないことが分かりました。

続いて4人のパネリスト(文部科学省スポーツ・青少年局体育官の森岡裕策氏、JOC女性スポーツ専門委員の小谷実可子さん、同・田辺陽子さん、JOC強化スタッフの知念令子さん)によるパネルディスカッションが行われ、佐藤正伸氏がコーディネーターを務めました。

まず森岡体育官は、平成23年度に54億円の予算を概算要求している「元気な日本スポーツ立国プロジェクト」について、女性に関わる施策を説明。「女性のスポーツ参加促進が女性アスリートの戦略的強化につながり、さらに女子のスポーツ習慣が形成されることが目標」と話しました。そして「今年策定したスポーツ立国戦略では、人とネットワークがキー。スポーツコミュニティ内でコミュニケーションを図りながらリーダーシップを養っていくことを目指します」と話しました。

田辺さんは、柔道の指導者養成の現状について触れ、「女性は引退後、指導者に登録せず、一線に関われずに埋もれていく人材が多い」と、女性が指導者に登録するためのプログラムの必要性を訴えました。また、各競技団体でも教育と普及に関わるシステムをきちんと作り、女性が引退後に活躍できる分野を作り出していくことが大切だと話しました。

また知念さんは、JOCの国際人養成事業について紹介。「国際大会におけるパーティーでの服装意識の問題や、日本人だけ固まっているなど、スポーツ人に国際的常識が備わっていないケースがあります。日本の発言力を向上させるためにもマナーを覚え、自分達の話を聞いてもらえる人を作る必要があります」と発言。さらに自身が国際ウエイトリフティング連盟でテクニカル委員会セクレタリーに選出されたエピソードに触れ「旧ソ連の地域が強いことから、英語だけでなくロシア語を勉強したことで、色々な情報を入手できるようになりました。また人のやりたがらない仕事を進んでやることで、認められたんだと思います」と話しました。

小谷さんは「初めて国際会議に出るときに、猪谷さんに相談したところ『会議で積極的に発言し、目立つ服装をするように。日本女性のイメージを打破して』と言われました。その通りにしたら、海外の方から『日本にこんな女性がいたなんて』と覚えられ、多くの会議に呼んでいただく機会を与えられ、さらに勉強して視野を広げようと思えるようになりました」と説明。また「与えられた立場を100%でやることが次のチャンスにつながりました。日本人女性は海外から求められています。自分の後を育てていきたいです」と、日本人女性としてのオピニオンリーダーを育成する意欲を語りました。

それぞれが、スポーツ界における女性の活躍について、熱心な意見を交換。参加した各競技団体の担当者にとっても考えさせられる時間となりました。

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