日本オリンピック委員会(JOC)は19日、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の支援説明会を東京都内で行いました。
11回目となった今回は、夏季競技4選手と冬季競技2選手、計6選手が参加し、東京ニュービジネス協議会(NBC)の会員17企業28名に対して就職支援を求めました。
■メダリスト2名が駆けつけ応援スピーチ
第一部では、まずNBCグローバル人財委員会の高橋ゆき委員長が登壇。2011年にNBCで開催された説明会に参加した斯波正樹選手(スノーボード)が、アスナビを通じてネミー株式会社に先週13日に入社したことを報告し、さらなる選手の雇用を呼びかけました。
続いて、市原則之JOC専務理事が「皆様にプレゼンテーションを行う選手たちも緊張していると思いますが、採用をご検討いただければ幸いです」とあいさつしました。
3人目として、2008年北京オリンピックの陸上競技で銅メダルを獲得した朝原宣治JOCアスリート専門部会員が応援スピーチを行いました。朝原さんは企業に所属してオリンピックを目指し競技活動を続けた経験から、アスリートが企業に所属する意味や、引退後も社内の戦力として活躍できることを紹介。参加者に対して「参加している選手の目を見てください。ぜひ、彼らの素晴らしい人間性を見てください」と訴えました。さらにアルベールビル、リレハンメルと2大会連続でオリンピックの金メダルを獲得したスキーの荻原健司さんも急きょ参加してあいさつに立ち、アスリートの雇用に理解を求めました。
続いて、八田茂JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが、アスナビにおける選手の採用事例などを紹介。この事業を通じて就職し、社業と競技活動を両立している選手たちの様子が発表され、第一部が終了しました。
第二部では「本音トークセッション!」と題し、選手によるプレゼンからスタート。6選手が緊張しながらも現状報告や、今後の目標などを伝えました。
■スキー/モーグル・上野修選手
「東日本大震災後に勤務していた福島県のホテルを退職しました。多くの支援をいただき、恩返しとしてオリンピックで活躍したいと考えています」
■リュージュ・金山英勢選手
「多くの国に遠征に行くことで対応力を身につけたほか、活動報告書なども自分で制作しました。ソチでは入賞、その次の平昌ではメダルを目標にがんばります」
■水泳/競泳・松原颯選手
「現在、大学4年生です。リオデジャネイロオリンピックに出場するために、一層の努力が必要です。そのためにもご支援をよろしくお願いいたします」
■レスリング・井上智裕選手
「2013年3月まで母校の高校で非常勤講師をしながら、レスリング部の指導を行いました。出勤日数が限られてしまいますが、オリンピックに出て会社に貢献したいと思います」
■フェンシング・森岡美帆選手
「大学2年からは代表に参加し、海外選手と日本人選手の体格の違いや技について実感しました。日本一、そしてオリンピックのメダルを目指しています」
■カヌー・大村朱澄選手
「ロンドンオリンピックに出場し、今も厳しいトレーニングに励んでいます。特殊な競技ではありますが、オリンピックの栄光を目指してがんばります」
■笑顔があふれた質問コーナー
プレゼン終了後、初めての試みとして6選手が、1人ずつNBCメンバーのテーブルに移動し、懇親会形式の質問コーナーが行われました。
リュージュの金山選手が2012-13シーズンをまとめた動画やプロフィール紹介用の資料を使用したり、カヌーの大村選手が自らが掲載された雑誌のコピーやカヌーのパドルを見せたりするなど、自己PRに取り組む姿が見られました。また、競泳の松原選手が「プレゼンだけで伝えられない話ができて、和やかな雰囲気だったのでとても楽しい時間になりました」と振り返るなど、選手たちにとってリラックスした時間にもなったようです。
コーナー終了後、荒木田裕子JOC理事があいさつに立ち「ソチはすぐそこです。2016年のリオ、2018年の平昌、そして東京への招致活動が行われている2020年と、本日の参加企業の皆様が苦しい時も、笑顔の時も一緒になって選手と歩んで、ご協力をいただければ幸いです」と述べました。
最後に西村剛敏NBC副会長が登壇。「選手の皆様もやりたいことに取り組み、夢に向かって全てをかけて努力されていると思います。ぜひ、就職という面でも妥協せずに、考えて夢を追いかけてもらいたいと思います」と説明会を締めくくりました。
JOCでは、今後も一人でも多くの選手と一社でも多くの企業が双方にとってプラスになる雇用関係を実現出来るよう、「アスナビ」を通じた就職支援を行っていきます。
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