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2013.05.16 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:ソチオリンピック・パラリンピックを目指す選手たちが経済同友会に支援を求める

JOCの就職支援「アスナビ」:ソチオリンピック・パラリンピックを目指す選手たちが経済同友会に支援を求める
経済同友会のメンバー、25社38名が参加した
JOCの就職支援「アスナビ」:ソチオリンピック・パラリンピックを目指す選手たちが経済同友会に支援を求める
アルベールビルオリンピックで獲得した銀メダルを披露する黒岩JOCゴールドプラン委員

 日本オリンピック委員会(JOC)は14日、トップアスリートの就職支援ナビゲーションシステム「アスナビ」の説明会を東京都内で行いました。「アスナビ」とは、オリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技を安心して続けられる環境を作るために、企業の就職支援を呼びかける活動です。

 10回目となった今回の説明会には、2014年のソチオリンピックを目指す冬季競技の選手7名と、ソチパラリンピックを目指す選手1名が参加。会場に集まった経済同友会メンバーの25社38名に対し就職支援を求めました。

 まず、経済同友会の前原金一副代表幹事・専務理事があいさつを行い、現状のアスナビについて紹介しました。続いてJOCの市原則之専務理事が「スポーツには国民、特に若い世代に大きな夢と感動を与える力があります。その主役であるアスリートはまさに国の宝です。彼ら、彼女らを育てるためにも、企業の皆様のご協力をお願い致します」と呼びかけました。

■企業に在籍しながら競技する意義を紹介
 基調講話では、1992年アルベールビルオリンピックのスピードスケート男子500mで銀メダルを獲得した黒岩敏幸JOCゴールドプラン委員が登壇しました。大学卒業後、企業に入社した黒岩委員はその時の経験から「私はアスリートだったことで他部署、支店、関連企業など、さまざまな人と関わることができました。それにより、私を採用してくれた会社の狙いでもあった『社内の統一感、チーム力作り』に役立てたのではないかと思います」とエピソードを紹介しました。

 さらに自らの現役時代と比べて現在の選手が置かれている状況が厳しいことについて触れた上で「選手たちの真剣な目を見てください。アスリートは我慢強く、会社の中でリーダーとして人を引っ張る力があります」と、選手たちの採用を訴えました。

JOCの就職支援「アスナビ」:ソチオリンピック・パラリンピックを目指す選手たちが経済同友会に支援を求める
株式会社ローソンに採用された住吉選手(左)、平野選手(中央)と同社の新浪社長
JOCの就職支援「アスナビ」:ソチオリンピック・パラリンピックを目指す選手たちが経済同友会に支援を求める
2人の選手を採用した東海東京証券株式会社の永森利彦名古屋戦略部長

■2選手の採用をサプライズで発表
 続いて、株式会社ローソンの新浪剛史代表取締役社長CEOが登場。自らが招致推進委員長を務める2020年のオリンピック・パラリンピック東京招致について「大会で中心となるのはアスリートです。私は彼らを心から支えたいと思っています。日本の企業が全体でアスリートを支える体制作りが大切です」と力強く語りました。

 そしてサプライズとして、ともにソチオリンピックを目指す住吉都選手(スピードスケート)と平野由佳選手(アイスホッケー)の採用(6月1日付)を発表。登壇した両選手は入社に対する喜びと、今後への決意を表明しました。

 さらにJOCゴールドプラン委員会副委員長の荒木田裕子理事は、招致活動とアスナビの関わりについて「東京が招致活動を始めてから、アスナビの活動にも好影響を及ぼしています。2020年の招致はもちろん、来年のソチ、その次の平昌に向けて、アスリートの採用もご協力をお願い致します」と述べました。


■アスリートの採用が企業に与える影響を紹介
 次に、実際に選手を採用した企業による実例として、近代五種の黒須成美選手とスケート・ショートトラックの桜井美馬選手を採用した東海東京証券株式会社による事例紹介が行われ、同社の永森利彦名古屋戦略部長が登壇しました。
 永森部長は、採用を検討したきっかけが名古屋市で行われたアスナビ説明会であったこと、最初に採用された黒須選手の入社に至る経緯や社内外の反響について、実際に放送されたニュース映像なども交えて語りました。
 また、2人目の採用となった桜井選手についても「4月1日の入社式には、他の新卒採用で入社した社員と一緒に参加し、一つになった雰囲気作りに大いに貢献してくれました」と紹介しました。

 最後に八田茂JOCキャリアアカデミーディレクターのコーディネートの下、ソチオリンピック・パラリンピックの出場を目指す8名の現役選手がプレゼンテーションを実施。選手たちは、緊張しながらも就職状況や現在の練習環境について熱心に説明を行いました。

JOCの就職支援「アスナビ」:ソチオリンピック・パラリンピックを目指す選手たちが経済同友会に支援を求める
獅子内美帆選手(左)と大澤ちほ選手(右)
JOCの就職支援「アスナビ」:ソチオリンピック・パラリンピックを目指す選手たちが経済同友会に支援を求める
久保英恵選手

■獅子内美帆選手(アイスホッケー)
 「高校卒業後は就職せずに、アルバイトをしながら競技に取り組みました。収入も少なく大変でしたが周囲の支えもあり、ソチの出場権を獲得できました。しかし、普段使用していたリンクが閉鎖となり、スポンサー契約も終了しました。今後は拠点を移し、メダルを目標にがんばります」

■大澤ちほ選手(アイスホッケー)
「現在、大学4年生です。就職をきっかけに競技を離れる先輩を多く見たこともあり、これまで就職は考えませんでした。アルバイトをしながらの現役続行を考えていましたが、アスナビの制度を知り、本日参加させていただきました。私たちが就職をして後輩の新しい道を切り開きたいと思います」

■久保英恵選手(アイスホッケー)
「私は一度、現役を引退しましたが、サッカー女子代表に刺激を受け、代表に復帰しました。ソチオリンピック最終予選では、副主将としてチームを引っ張り、MVPに選ばれました。現在はアルバイトをしていますが、ソチに向けて競技に集中できる環境作りに、ご支援いただければと思います」

JOCの就職支援「アスナビ」:ソチオリンピック・パラリンピックを目指す選手たちが経済同友会に支援を求める
宮沢大志選手
JOCの就職支援「アスナビ」:ソチオリンピック・パラリンピックを目指す選手たちが経済同友会に支援を求める
神谷衣理那選手

■宮沢大志選手(スキー・クロスカントリー)
「応援してくれる人が驚くような滑りをして、成績を残したいと思っています。現在、活動資金(年間で約400万円)はすべて両親に負担してもらっています。ソチだけでなく、その後の平昌も目指します」

■神谷衣理那選手(スケート・スピードスケート)
「高校卒業後、2年間企業で活動しましたが結果が出ずに退社しました。しかし、2012-13シーズンではW杯の代表に入り、念願の世界距離別選手権にも出場しました。最大の目標はオリンピックのメダルです」

JOCの就職支援「アスナビ」:ソチオリンピック・パラリンピックを目指す選手たちが経済同友会に支援を求める
渡辺啓太選手(左)と世界明斗選手(右)
JOCの就職支援「アスナビ」:ソチオリンピック・パラリンピックを目指す選手たちが経済同友会に支援を求める
夏目堅司選手

■渡辺啓太選手(スケート・ショートトラック)
「埼玉県出身ですが、指導者と練習環境を求めて大阪府の阪南大学に進学しました。2012-13シーズンはW杯、世界選手権にも出場し、大学生活では人間的にも成長できました。採用していただければ企業の広報・宣伝にもご協力できます」

■世界明斗選手(スケート・ショートトラック)
「ショートトラック大国の韓国への単身留学や他競技の練習方法を学んだことで、日本代表としてW杯に出場しました。採用していただいた際には、競技で培った行動力、向上心を生かしてオリンピックでメダルを獲得し、職場の活性化に貢献します」

■夏目堅司選手(パラリンピック・アルペンスキー座位)
「まず、パラリンピアンとしてこの場に参加できてうれしく思います。チェアスキーは見る人も、やる人にもスリルがあるスポーツです。現在39歳ですが、障害者スポーツは50歳以上の方も多く活躍しています。ソチパラリンピックの出場権をほぼ手中におさめているので、なんとか活躍したいと思います」

 2010年秋にスタートした「アスナビ」からは、現在13社17名の就職が決定しました。JOCでは、今後も一人でも多くの選手と一社でも多くの企業が双方にとってプラスになる雇用関係を実現出来るよう、「アスナビ」を通じた就職支援を行っていきます。

【写真提供:アフロスポーツ】

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