日本オリンピック委員会(JOC)は10月4日、東京国際フォーラム・ホールAで「オリンピックコンサート2012」を開催しました。
オリンピックイヤーの今年は「感動をありがとう! 応援をありがとう!」をテーマに、ロンドンから日本中に大きな感動を届けてくれたメダリストたちが参加し、応援してくれたすべての皆さまに感謝の気持ちを伝えるため、例年の6月ではなくロンドンオリンピック・パラリンピック終了後の10月4日に行われました。
大型スクリーンに映し出されるオリンピックの映像と、フル・オーケストラによる迫力の演奏で、夏のロンドンで繰り広げられた感動と興奮を再現するコンサートとなりました。
藤岡幸夫さんの指揮と東京フィルハーモニー交響楽団の管弦楽による、リヒャルト・シュトラウス作曲の『ツァラトゥストラはかく語りき』とウィリアム・ウォルトン作曲の戴冠行進曲『王冠』の演奏からコンサートはスタート。スクリーンにはロンドンオリンピックの聖火リレー、英国らしい演出が散りばめられた開会式のハイライト映像が流れました。
続いて、コンサートのナビゲーターを務める俳優でソウル、バルセロナと2回のオリンピックに競泳で出場した藤本隆宏さんの紹介で映画『ALWAYS 三丁目の夕日'64』のテーマソング、NHKドラマ『坂の上の雲』のテーマより『Stand Alone』、ウィリアム・ウォルトン作曲の『スピットファイア』の前奏曲を演奏。スクリーンには選手の子供のころの写真やロンドンで残した言葉が紹介されました。
7曲目からはボーカルユニットのLe Velvets(ル・ヴェルヴェッツ)が登場。今回のためにアレンジされた『勝利への道』『Time To Say Goodbye』『第九〜歓喜の歌』の3曲を歌い、会場は大いに盛り上がり、第1部は終わりました。
■33人のメダリストから感謝のことば
第2部は、歌手の高橋洋子さんの登場で幕開け。アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のテーマソング『残酷な天使のテーゼ』と『魂のルフラン』を熱唱し、会場は一気に興奮に包まれました。
続いてJOCの竹田恆和会長が登壇。「今回のロンドンオリンピックは、日本がオリンピックに初参加してから100年目の大会で、史上最多38個のメダル獲得という大きな成果をあげました。また、2020年に東京オリンピック・パラリンピックが実現すれば、子供たちに大きな夢を与えることができると思っております。そのためにも、招致への支持率を上げることが大変重要です。皆さまのご理解とご協力をぜひともよろしくお願いします」とあいさつしました。
そして33人のメダリストたちがステージに上がり、会場からの割れんばかりの拍手と歓声の中、全員が一言ずつ自己紹介をしました。
レスリング女子55kg級で3連覇を達成し、開・閉会式では日本代表選手団の旗手を務めた吉田沙保里選手は、「旗手を務め、大変光栄に思いました。貴重な経験ができて、オリンピックで3連覇もすることができて、本当に皆さんの応援のおかげだと思っています」と感謝の言葉を口にしました。
競泳チームの主将を務め、2種目でメダルを獲得した松田丈志選手は競泳陣のチーム力について聞かれ、「スタッフや選手ミーティングをする中で、一人で戦うのではなく、みんなで戦うというキーワードでチーム作りを進められました。みんながそれを意識し、実践してくれた結果が出たのではないかと思います」と答えました。
柔道女子57kg級金メダリストの松本薫選手は「本当に皆さんの応援のおかげで自分の力が何倍にも膨らんで金メダルを取ることができました」と述べました。
また、ロンドンパラリンピックの女子ゴールボールで金メダルを獲得した安達阿記子選手は、「皆さんからたくさんの応援をいただき、パラリンピック前の合宿中にはオリンピック選手の皆さんの活躍をいい刺激にして大会に臨み、パラリンピック日本代表選手団として団体種目初の金メダルを獲得できました」と語りました。
最後に、ボクシング男子ミドル級で金メダルを獲得した村田諒太選手の音頭で33人のメダリストが声をそろえて「応援ありがとうございました」と感謝の意を伝えると、会場は再び拍手に包まれました。
■選手たちへのありがとうのメッセージ
演奏に戻り、選手のお気に入りの1曲に合わせて、事前に募集された選手へのメッセージの紹介が行われました。吉田選手はNEWSの『チャンカパーナ』、松本選手はGReeeeNの『遥か』、バレーボール女子で28年ぶりの銅メダルを獲得した江畑幸子選手はMr.Childrenの『GIFT』、同じくバレーボールの竹下佳江選手はいきものがかりの『風が吹いている』をリクエスト。ピアノとバイオリンの演奏に合わせ、藤本さんがメッセージの朗読を行いました。
そして再びオーケストラによる演奏で、リヒャルト・ワーグナー作曲の歌劇『タンホイザー』の序曲、『オリンピック讃歌』と続き、コンサートはクライマックスを迎えます。アンコールはエルガー作曲の『威風堂々』。壮大なシンフォニーが響き渡る中、スクリーンにはロンドンオリンピック・パラリンピックでの印象的なシーンや、東京・銀座で行われたメダリストパレードの光景などが映し出され、およそ2時間半にわたり今夏の感動と興奮がよみがえった「オリンピックコンサート2012」は幕を下ろしました。
終演後、体操の内村航平選手は「1カ月半くらい前のことなのに昔のことのように思い出しました。他の競技も見ることができて、あらためて印象に残るオリンピックでした」と感想を述べました。ウエイトリフティング女子48kg級の三宅宏実選手は「オーケストラの素晴らしい音色を聴き、オリンピックの映像を見て、すごくうれしい気持ちになって、いい思い出になりました。4年後、この舞台に立ちたいと思う一日でした」とコメント。また、ボクシングの村田選手は「2カ月近く経って初めて大会を客観的に見て、オリンピックっていいものだなと思いました。もし2020年に東京に来たらと思うと、期待で胸が膨らみます。もう1回あの舞台に(立ちたい)と考えたので、まずは一歩一歩がんばりたいです」と今後への意欲を見せました。
<オリンピックコンサート2012開催概要>
■開催日:2012年10月4日(木)
■会場:東京国際フォーラム・ホールA
■出演
指揮:藤岡幸夫
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
ヴォーカルグループ:Le Velvets
ゲストヴォーカル:高橋洋子
ナビゲーター:藤本隆宏
■参加メダリスト
・水泳・競泳
松田丈志、立石諒、藤井拓郎、寺川綾、鈴木聡美、加藤ゆか、上田春佳、星奈津美
・体操・体操競技
内村航平、田中和仁、田中佑典、加藤凌平
・ウエイトリフティング
三宅宏実
・卓球
平野早矢香
・柔道
平岡拓晃、海老沼匡、中矢力、西山将士、松本薫、上野順恵、杉本美香
・レスリング
湯元進一、米満達弘、松本隆太郎、小原日登美、吉田沙保里、伊調馨
・フェンシング
千田健太、三宅諒、淡路卓
・ボクシング
清水聡、村田諒太
・ロンドンパラリンピック・ゴールボール
安達阿記子
(写真提供:アフロスポーツ)
関連リンク
CATEGORIES & TAGS