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2012.03.23 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:オリンピックを目指す現役選手が支援を求める

JOCの就職支援「アスナビ」:オリンピックを目指す現役選手が支援を求める
アスナビ説明会に出席したオリンピックを目指す選手たち

 日本オリンピック委員会(JOC)は2月22日、トップアスリートの就職支援ナビゲーションシステム「アスナビ」の説明会を東京都内で行いました。「アスナビ」とは、オリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技を安心して続けることができる環境を作るために、企業側のサポートを呼びかける活動で、2010年秋にスタートしました。6回目の説明会となる今回は、ロンドンオリンピック、ソチ冬季オリンピックを目指す7名の現役選手(ビデオ登場2名含む)が公益社団法人経済同友会メンバー25社32名に対して、就職支援を求めました。

 はじめに、JOCの福井烈理事・JOCゴールドプラン委員会委員長と、経済同友会の前原金一副代表幹事・専務理事が、選手と企業の両方の立場から「アスナビ」について紹介し、企業への感謝の気持ちを述べました。

JOCの就職支援「アスナビ」:オリンピックを目指す現役選手が支援を求める
瀬古利彦JOCゴールドプラン委員会委員

 続いて、瀬古利彦JOCゴールドプラン委員会委員が、自身が所属した企業での経験談を語りました。その中では企業におけるアスリートの重要性を語り、「選手たちをみんなで支援できる世の中でありたい。各企業が少しずつアスリートを雇用していただければ、選手は感謝の気持ちを持ってそれに必ず応えてくれます。経済状況が決してよくないことは分かっておりますが、そういうときにこそ雇用された選手は、感謝の気持ちを込めて企業のために一生懸命、仕事と競技の両立を計ってくれると思います。皆さんの支援でやる気のある若者の夢をぜひ叶えてあげてください」と、力強く訴えました。

 さらに、荒木田裕子理事・JOCゴールドプラン委員会副委員長が「アスナビ」の概要を説明。「昨年3月11日、東日本が未曾有の大震災に見舞われました。そのときに、アスリートがいち早く立ち上がりました。今まで応援してもらっていた自分たちが今、何かすることはできないのかと、支援物資を車に積んで被災地に向かったり、募金活動をしたり、チャリティイベントを実施しました。世界を目指し、競技生活を送っているアスリートには、このような行動力や集中力があります。アスリートの持つ力を皆さんの会社のお役に立てていただきたいと思っております」と説明会の意図を述べました。

 また、アスナビを活用して昨年、競泳の古賀淳也選手を採用した第一三共株式会社の野々瀬恭平常務執行役員人事部長と、競泳の上田春佳選手、カヌーの竹下百合子選手の2名を採用した、キッコーマン株式会社の松崎毅人事部長が登壇。八田茂JOCキャリアアカデミーディレクター進行の下、アスリートの採用に至った経緯、入社後の活動などを説明しました。
 野々瀬人事部長は、「競技に参加し集中して、よりよい成果を上げてほしいと願っています。具体的には、ロンドンオリンピック出場のステップに全力を注いでほしい。会社としては、貴重な社員の1人として向き合い、彼の活動成果を見守りつつ支援して、今後は有形無形の貢献をしてくれることを期待しています」と、将来設計を含めたアスリートの役割について紹介しました。
 一方、松崎人事部長は選手2名に「まずは競技の成果を出すということと、社会人として仕事を通じて成長してもらうこと」の2つのミッションを与えたことを説明しました。さらに、「(競技)結果は必ず社員に伝えていますが、社員がアスリートの2人に対する関心を持っていることが分かりました。社員の連帯感、一体感を醸成するにはアスリートはとても貴重な存在だと思いました」と採用の有益性を語りました。

 その後、ロンドンオリンピックの出場権を獲得しているライフル射撃の小西ゆかり選手をはじめ、就職先を探している7名のゲストアスリート(ビデオ登場2名含む)が、就職状況や現在の練習環境を話しました。

JOCの就職支援「アスナビ」:オリンピックを目指す現役選手が支援を求める
今井啓介選手
JOCの就職支援「アスナビ」:オリンピックを目指す現役選手が支援を求める
坂本鷹志選手

■今井啓介選手(ビーチバレー)
「私たちオリンピックを目指す選手は、世界と戦う上で、週末の練習だけでは実力差が生まれてしまうので、平日も練習をしなければオリンピックの出場もありません。ですから、サポートを得ないと活動ができないのが、ビーチバレーの現状です。また私は以前、会社員の経験があります。今はロンドンオリンピックを目指していますが、現在32歳で年齢的にも社会にもう一度復帰することを考え、会社員として社会貢献したいと思っています」

■坂本鷹志選手(体操/トランポリン)
「ロンドンオリンピックでは男子の出場枠2枠が確定しており、内、1枠に関してはすでに選手が内定しています。残りの1枠は4月に開催される最終選考会で決定するため、そこで優勝することが今の目標です。また、オリンピックとは別に、個人での世界新記録の樹立も学生時代から目標にしています。昨年はロシアのワールドカップで挑戦した結果、失敗してしまいましたが、確かな手ごたえを感じることができました。今年行われるワールドカップシリーズのいずれかで、再び挑戦したいと考えています」

JOCの就職支援「アスナビ」:オリンピックを目指す現役選手が支援を求める
桜井美馬選手
JOCの就職支援「アスナビ」:オリンピックを目指す現役選手が支援を求める
小西ゆかり選手

■桜井美馬選手(スケート/ショートトラック)
「私がよいパフォーマンスや成績を収めることにより、会社の人たちとともに喜びを分かち合うことができたらすごくうれしいと思いました。ショートトラックは個人競技ではありますが、リレー種目もあり、チームワークも重要となってきます。もし会社に入ったら、チームワークや人とのご縁を大切にしていきたいと思っています。またバンクーバーオリンピックでは悔しい思いをたくさんしたので、次のオリンピックでは必ずリベンジする思いで頑張っています」

■小西ゆかり選手(ライフル射撃)
「高校を卒業して、12年間自衛隊に勤めました。3年前に自衛隊を退職し、現在は個人で競技を続けています。普段は自衛隊で貯めたお金で生活費、競技の活動費をまかなっていますが、ロンドンオリンピックではあくまでもメダルを取ることを目標にしていますので、本日の説明会は、競技人生をかけたラストチャンスだと思っています。スポーツを通じてチームジャパンが一丸となって、日本に元気を取り戻せるように頑張ります」

JOCの就職支援「アスナビ」:オリンピックを目指す現役選手が支援を求める
杉本宏樹選手

■杉本宏樹選手(トライアスロン)
「日本人がトライアスロンで対抗するには、競技能力を高めることももちろんですけれど、心をどう強化していくかが大前提です。それは日々のトレーニングの中でしか成し遂げられないと思っています。今はロンドンオリンピックを目指し、一歩一歩近づいていると実感しながら競技活動を続けられることに心から感謝しています。私もいずれは育ってくる若手たちにこういった活動の手助けをしていきたいと思っていますので、まずは選手としての役割を全うして、その後はトライアスロンの持つ素晴らしさを生かして、社会に貢献できるような人間でありたいと思っています」

≪ビデオ登場アスリート≫
■柏原理子選手(スキー/クロスカントリー)
「今の私は2年後のソチオリンピックに向けてトレーニングに励んでいます。競技者として戦うためには、たくさんの経験が必要だと思っています。そのためには漠然とした大きな目標だけでなく、小さな目標からコツコツと積み重ねて確実にクリアしていくことが大事だと思っています。また、社会人としても確実に仕事をこなしていきたいです」

■羽根田卓也選手(カヌー)
「前回の北京オリンピックでは納得のいく成績が出ませんでしたが、昨年の世界選手権、ロンドンオリンピックの選考会では、日本人史上初となる決勝進出を果たし、10位という結果を残すことができました。今回のロンドンオリンピックでは、もちろんメダル獲得というのはひとつの目標ですが、これをきっかけに皆様にこういった競技があるということを知っていただき、カヌー・スラローム競技というものに恩返しをしたいと思っています。ご支援していただいた際には、メダルの獲得を通して、社に恩返しがしたいです」

 JOCでは今後も、一人でも多くの選手と一社でも多くの企業が、双方にとってプラスになる雇用を実現させられるよう、「アスナビ」による支援を行っていきます。

写真提供:アフロスポーツ

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