リオデジャネイロオリンピック日本代表選手団本部は大会最終日の8月21日(現地時間)、現地で総括記者会見を行い、橋本聖子団長、山下泰裕副団長、田裕司総監督が今大会の日本代表選手団の戦いを振り返りました。
■メダル総数、入賞数が過去最多
この日までで金12個、銀8個、銅21個で合計41個と過去最多となったメダル獲得数、また同じく過去最多となった87種目の入賞について、橋本団長は「日本代表選手団はロンドンオリンピックを上回るメダル総数41個、入賞数も87種目と過去最多の成績をあげることができました。選手、監督やコーチ、スタッフの並々ならぬ努力が実を結んだものと思います」とねぎらいの言葉を述べ、環境面での要因として「国内においてナショナルトレーニングセンターが365日24時間体制で選手強化の環境を作っていただいたこと、国立スポーツ科学センター(JISS)ではトレーニングによる成果や障害に対して科学的にサポートする医科学情報の充実があったことがより選手の能力を高めていった」と分析。また、「ハイパフォーマンスサポート・センター(旧マルチサポートハウス)やJOC(日本オリンピック委員会) G-road Stationでの日本食の補食などを提供して選手に普段どおりのコンディショニングができるようにしてきました。その成果も今回のメダルの成果に表れていると思います」と、好成績の要因を挙げました。
後半戦については、前半での「柔道、水泳、体操といういい流れのなかで、レスリング、バドミントン、卓球といい流れをつなげてくれて、男子陸上競技の4×100リレーで銀メダルを獲得することができました」と後半の競技の活躍も評価しました。
また、今大会ではユースオリンピックに出場経験がある選手の活躍が目立ったことについて、橋本団長が「今大会ではユースオリンピックを経験した選手が10名出ています。松友(美佐紀)選手や丹羽(孝希)選手がメダルを獲得して、成果を出しています」と述べると、山下副団長も、「アトランタ、シドニーのオリンピックで(柔道の)監督をしていたころは、日本はプレッシャーに弱いと言われていましたが、いまの若い選手は世界の強豪を相手にしても精神的にたくましくなってきた。JISSの成果だと思います」と述べ、田総監督も「卓球の(15歳の)伊藤(美誠)選手や、レスリングにおいては登坂(絵莉)選手、土性(沙羅)選手、川井(梨沙子)選手といった21、22歳という年齢でメダルを取れた」と若い選手の活躍を評価し、4年後の東京オリンピックに向けて期待を述べました。
■今後4年間で取り組むこと
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けての強化については、橋本団長は「すぐに総括をして今後の強化の体制作りを早急にして、国やスポーツ庁と一体になって強化を進めます。今大会でやらなければいけないけれどもできなかったことはたくさんあります。すべては予算次第ですが、ひとつはコーチの充実です。ナショナルコーチにしても1競技1人なのですが、水泳には競泳、飛び込み、水球などがあり、1人では無理です。2020年に向けては遠慮せずにやりたいことはしっかりと(予算案で)提出していきたいと思います」と述べ、田総監督も「コーチの充実に向け、競技団体から聞き取りをして力になりたい」と話しました。
羽根田卓也選手が銅メダルを獲得したカヌーのように海外でトレーニングすることが競技力向上に効果的な競技については、海外での日本の強化拠点の必要性を訴え、「欲を言えばきりがないですが、2020年に最高の結果を出すため、やれることはやっていきたい」と話しました。
また、アーチェリーや射撃など体格の影響が少ない競技について、橋本団長は「韓国がそうであるように、日本もそういう競技は日本に向いていると思っていますので、最大限の力を入れていこうと思います。射撃に関しては、日本は銃刀法の関係できびしい法規制がかかった状況で、一時期高校生年代でのライフル系の選手がいなくなったことがあり、法改正を2年前にやっと認めてもらいました。いい成果をあげるべく環境が整いましたので、しっかり力を入れていきたいと思います」と今後の飛躍を誓いました。
最後に橋本団長は「JOC強化本部としては、『人間力なくして、競技力向上なし!』と掲げてきて、いろいろなところに貼り出し、毎日の意識の中に残るようにしてきました。なぜ私たちがスポーツをするのか、オリンピックを目指すのか、そういったことを選手が明確に意識し、答えられるようにならないといけません」と、人間教育にも力を入れていくことを述べました。
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