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2016.08.16 オリンピック

メダル7個の水泳・競泳代表が総括会見 萩野選手「東京オリンピックに向けて収穫と課題」

メダル7個の水泳・競泳代表が総括会見 萩野選手「東京オリンピックに向けて収穫と課題」
平井伯昌コーチ(写真:アフロスポーツ)

 リオデジャネイロオリンピックで金2個、銀2個、銅3個を獲得した水泳・競泳の日本代表選手団が現地時間14日、リオデジャネイロ市内にある選手村で会見を行いました。平井伯昌コーチ以下、金藤理絵選手、萩野公介選手、坂井聖人選手、瀬戸大也選手、星奈津美選手、松田丈志選手、小堀勇氣選手、坂井聖人選手のメダリスト8人が出席。それぞれ今大会を総括しました。

――平井コーチから今大会のメダリストについて、一人ずつコメントをお願いします。

平井コーチ 一人ずつということでしたけど、大会を昨日終わってみまして、メダリストになった8人の選手たちとこの4年間の生き方と言いますか、特にベテランの金藤さん、松田君、この4年間の競泳選手としてだけでなく、人間としての成長というのが今回の結果に結びついたと思っています。

 一人ずつということですから、まず星さんは昨年カザンの世界選手権で金メダルを獲得いたしまして、選考会以前に内定をいただきました。なかなか調子の上がらない時期が長く、ようやく6月末ぐらいから調子が上がりまして、惜しくも銅メダルになりましたけど、すべて力を出し切った立派な2大会連続の銅メダルだと思っています。

 続きまして、瀬戸選手も昨年内定をいただきまして、今回金メダルを狙ってレースを萩野公介と争ってくれたと思います。2人の日本人選手が表彰台に上がるというのは60年ぶりということで、次回の東京オリンピックでも萩野選手と金メダル争いをぜひしてもらいたいと考えております。

 坂井選手は担当の奥野(景介)コーチに言わせると「狙っていた!」ということなんですけど、もっとハッキリ言ってほしかったなというのがありましたが(笑)、坂井君は来年の世界水泳から世界中の選手に背中を追われる存在になると思いますので、今まで以上に自覚を持っていただきたいと思いますし、最後の50メートルの追い上げは各選手、コーチみんな驚いておりました。更なる飛躍を期待して、金メダリストになっていただきたいと思います。自覚をお願いいたします(笑)。

 金藤選手は加藤(健志)コーチとずっと長い時間をかけて熟成してきたというふうに思っております。今回勝ったというよりは、選考会の前から「金藤は強い」という印象を世界に見せ付けて、その中で堂々と優勝したということは大変価値のあることだと思っております。
 萩野選手は今回3つのメダルを獲得しました。瀬戸選手と初日の400m個人メドレーでライバルとして競り勝って金メダルを獲得したということは、彼のキャリアの中でとても価値のあることでありますし、今後の更なる飛躍、そしてスイマーとしての活躍を期待しております。

 次に800mリレーですけど、これも52年ぶりということで、松田選手、江原選手、小堀選手、それと萩野選手とで獲得したわけですが、東京オリンピックのメンバーの方はご在命でいらっしゃいますので、胸を張って帰って諸先輩方に報告してもらいたいと思います。日本の自由形が世界に通用するということを立派に示してくれましたし、次回の東京オリンピックでは自由形のリレーでも金を狙うということも可能になると思いますので、そういったことを目標にこの4年間強化していきたいと思っております。

メダル7個の水泳・競泳代表が総括会見 萩野選手「東京オリンピックに向けて収穫と課題」
今大会で競泳陣は金2、銀1、銅3の計6個のメダルを獲得した(写真:アフロスポーツ)
メダル7個の水泳・競泳代表が総括会見 萩野選手「東京オリンピックに向けて収穫と課題」
2大会連続でメダルを獲得した星奈津美選手(写真:アフロスポーツ)

――星選手から続いてコメントをお願いします。

星選手 平井先生からもおっしゃっていただいたように2大会連続の銅メダルを獲得できて、正直ホッとしているところと、やっぱり決勝の緊張する舞台ですべて出し切ることができたので、自分の中では今までで一番いいレースができたかなと思います。前回と同じ銅メダルではあるんですけど、前回よりも喜びもあって、重みもある銅メダルだと思っています。

瀬戸選手 今回のオリンピックは初出場でメダルを獲得できたんですけど、とても悔しいオリンピックだったので、4年後の東京オリンピックではしっかりと満足いくレースができるように、これからの4年間、充実した1日を過ごせるように頑張っていきたいと思います。

坂井選手 やっぱり優勝を目標にずっとやってきたので、2番という結果は非常に悔しいんですが、4年後には東京オリンピックがあるので、それに向けてしっかり練習して4年後は優勝できるように頑張っていきたいと思います。

金藤選手 タイムは納得いくものではありませんでしたが、狙っていた金メダルを取れたということは私自身納得していますし、今までメダルを取れるチャンスがあった中で取れなくて、今回やっと取れたメダルなので、胸を張って形に見える報告をみなさんにできることが本当に幸せです。

萩野選手 今回はそれぞれのレースでそれぞれの意味を持つレースになったので、次の東京オリンピックに向けていい収穫と課題を見つけました。次に向けて大きく成長できるように頑張っていきたいと思います。

松田選手 まずは銅メダルを無事に獲得できたということで、それに関してはすごく嬉しく思っています。自分の泳ぎに関しては100%満足するものではありませんでしたが、若くて練習をやればやった分だけ伸びていくという状況ではない中、精一杯やったのかなという思いはあります。最後に平井先生がおっしゃったように、この800mフリーリレーのメダル、自由形でのメダル獲得を復活ののろしの一発目としてこれからさらに日本の自由形が強くなっていくことを願っています。

江原選手 今回、僕の中では幸せな時間が過ごせたと思っています。これを機に来年の世界選手権、4年後の東京オリンピックでもしっかりメダルを取れるようにもっと上を目指して頑張りたいと思います。

小堀選手 4年前に悔しい思いをして、今回メダルを獲得することができて、僕自身とても嬉しく思っています。最後ちょっと悔しい思いはしましたが、8日間を通してもそうですし、4月からこのチームで戦ってこれて本当に良かったと思います。4年後はみなさんおっしゃっているように金メダルを目指して頑張っていきたいと思います。

メダル7個の水泳・競泳代表が総括会見 萩野選手「東京オリンピックに向けて収穫と課題」
初日の男子400m個人メドレーで金メダルを獲得した萩野公介選手(写真:アフロスポーツ)
メダル7個の水泳・競泳代表が総括会見 萩野選手「東京オリンピックに向けて収穫と課題」
萩野選手と一緒に表彰台にあがった瀬戸大也選手(写真:アフロスポーツ)

――萩野選手に質問です。昨日引退したフェルプス選手が会見で萩野選手について「今出ている種目だけじゃなくて、背泳ぎやバタフライでもオリンピックに挑戦できると思う」と言っていました。それを聞いてどう思いますか?

萩野選手 素直に嬉しく思うのと、僕自身もやはりそういったフェルプス選手やロクテ選手のような僕の憧れのスイマーのようになりたいという思いがあります。それに向けて、10歳、9歳上の選手からそういうふうに言ってもらえるのはすごく嬉しいことですし、目指せるチャンスが僕にあるので目指していきたいと思います。

――それに関連して、瀬戸選手もマルチスイマーへの憧れがあると思いますが、今回の結果を受けて、これからは個人メドレーにこだわっていくのか、多種目に出場していくのか、今の時点で自分の理想の姿をどう思い描いていますか?

瀬戸選手 まずこの4月の選考会で200mの個人メドレーで代表に入れなかった時点で、ちょっと自分のイメージより自分のレベルが低いなと感じましたし、今回の銅メダルでまだまだ努力しないといけないと感じました。本当は今回金メダルを取って、東京では多種目で金メダルを目指したいなと思ったんですけど、今もそういうふうに考えは変わっていなくて、これから東京までの4年間で色々と種目数も増やして、どんどんタフな選手になって、規格外の選手になりたいと思っています。

――平井コーチにお伺いします。チーム全体の陰のMVP的な存在は?

平井コーチ 陰になっている選手はいないと思います。先ほども紹介がありましたが、松田君もそうですが、藤井君も入江君もキャプテンをやっていただいていて、萩野も副キャプテンだったんですけど、今回のキャプテン金藤選手も陰ではないですよね。よくやってくれたし、長らくチームを引っ張ってくれている松田君の存在ですね、僕はすごく大きかったと思いますので、誰がと言うよりはここにいるみんなの中で2人の存在は大きかったかなと思います。あと、自分の担当なんで言いにくいんですけど、萩野も変わったなと思いますので、誰がというよりは何人もいるなと、僕は印象を受けています。もちろん坂井聖人の銀メダルはみんなびっくりして発奮したということもありますから、みんなそれぞれ刺激しあっていいチームになってくれたんじゃないかなと思います。

メダル7個の水泳・競泳代表が総括会見 萩野選手「東京オリンピックに向けて収穫と課題」
チームキャプテンを務めた金藤理絵選手は女子200m平泳ぎで金メダルを獲得(写真:アフロスポーツ)
メダル7個の水泳・競泳代表が総括会見 萩野選手「東京オリンピックに向けて収穫と課題」
チーム最年長の松田丈志選手はリレーで銅メダルを獲得(写真:アフロスポーツ)

――今名前が挙がった金藤選手、松田選手にお伺いします。年長者として、キャプテン、またはキャプテン的な存在として、どのようなことを心がけて大会中を過ごしましたか?

金藤選手 私は去年の世界選手権でキャプテンとして周りから見たら落ち着きがなかったというか、周りから見たら頼られるような存在ではなかったのかなという反省点がありましたので、どんなに不安があってもいつでも前向きに笑顔でいるように心がけていました。チームとして何ができたかと言われると、こういうことをやってきましたということはなくて、いつもどこかで松田選手が「選手ミーティングやったほうがいいんじゃないか」とかすごくアドバイスをいただいたので、たくさんの人から私はキャプテンとして頼りがいがあったよと言ってもらえたのですが、たくさんの人が手助けしてくださいました。そして、メダルを取れたことはチームの一員としても、キャプテンとしても最低限のことをできたんじゃないかと思っています。

松田選手 僕自身は金藤さんがキャプテンで、萩野選手が副キャプテンだったので、2人が中心になってチームを作っていく中で、もし困ったことがあれば後ろからサポートできればという気持ちで過ごしていました。藤井選手なんかもベテランで経験豊富ですし、陵介もそうですが、そういう選手が何人かいますので、そういう選手と話をしながら後ろからサポートできることはしていくというスタンスでいました。試合のときに意識したのはやはり、みんなたくさん練習して本番に挑んでいるとは思うんですが、最後の気持ちの持ちようひとつでパフォーマンスが変わってくることがあると思うので、そのときにできるだけここに来た選手みんなが自分がやってきたことを出せるように、出してほしいという思いで、自分のレースが終わってからはできるだけ声をかけるようにしていました。

――金藤選手と萩野選手に伺います。たくさんの子供たちがみなさんの活躍を見ていたと思います。もし子供たちから「どうすれば金メダルを取れますか?」と聞かれたら、どう答えますか?

金藤選手 もちろんつらいことは絶対にあるので、きついこと、つらいことは当たり前だからこそ、何か達成したときの達成感がありますし、すぐ先のことだけじゃなく、もっと先のことを見据えながら頑張ってほしいということを伝えられたらと思います。

萩野選手 まずは競技自体を好きになることはもちろんなんですけど、理絵さんがおっしゃったように、つらいこととかきついことがあるかもしれないですけど、それもやっぱり恵まれた環境でやらせてもらって、恵まれた人たちに支えてもらっているからこそ得られる苦しさだと思います。そういうこともしっかりと受け止めて、一つ一つ自分を成長させてくれるものだと思って、そういうふうに考えられるのは時間がかかることかもしれないですけど、何よりも好きになって取り組んでくれれば間違いなく金メダルには近づくと思いますので、それが一番大事かなと思います。

――松田選手に質問です。3大会連続でメダルを獲得したが、あらためて思うことは?

松田選手 4回オリンピックに出場できて、そのうち3大会でメダルを取れたということで、こうやって長い間、選手としてオリンピックに関われたということは感謝のひと言しかありません。本当にたくさんのサポートをいただいたことは当然ですし、丈夫な体に生まれたこともそうですし、本当にやればやるほど自分ひとりではここまでやれなかったという思いは強いです。

――平井コーチに質問です。今回大きな成果を残した中で、あえて4年後への課題を挙げるとすれば?

平井コーチ 金メダルを獲得することができたということは、チームに入っている若い選手にも金メダルが身近に感じられて、次につながるいい成果だったとは思います。ただですね、例えば池江選手と同い年のカナダの16歳の選手がバタフライで銀メダル、自由形で金メダルを取ったということを考えますと、日本の競泳はジュニア強化からオリンピックにつながるということ、そのあたりのことを大変意識して強化本部としてやってきましたが、海外の選手が初めてのオリンピックで金メダルを取ったということを考えますと、私たちの取り組みというのは、オリンピック選手を輩出するところでとどまっていたのかなと感じますので、当然こちらに今日呼んでいただいたメダリストを中心に強化を進めていくわけですけど、若手の選手たちにオリンピックを目指すのではなくて、メダル、金メダルを目指すというような啓蒙をしていく4年間にしていきたいと考えております。

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