ロンドンオリンピックの馬場馬術個人1次予選が行われ、日本史上最年長のオリンピック選手となる71歳の法華津寛(ほけつ・ひろし)選手が出場しました。1964年東京大会、2008年北京大会に続く3回目のオリンピック参加となる法華津選手。2日間に分けて行われる予選で40位となり、上位32人による2次予選進出は逃しましたが、愛馬ウィスパーを操り、華麗な演技で観客を魅了しました。
競技後、「3つミスがあったので残念」と振り返った法華津選手ですが、「緊張はなかったです。大会運営がすばらしく、楽しむことができました」とコメント。今大会の出場選手の中でも最高齢の法華津選手には外国メディアの関心も高く、競技後の取材が相次ぎました。年齢が注目されることについては「いいじゃないですか。そうじゃないと注目されないでしょう」と話し、取材陣を笑わせました。
日本ではなじみの薄い馬術ですが、英国では伝統のスポーツとして古くから親しまれています。会場にも多くの観客が詰め掛け、人馬一体の演技を固唾(かたず)を飲んで見守りました。競技中はシーンと静まり返りますが、終了すれば惜しみない拍手で盛り上げるなど、メリハリのある観戦が印象的でした。
その馬術が行われている会場は、ロンドンの南東にあるグリニッジ・パークという世界遺産にも指定されている広大な公園です。その歴史は古く、開園は1433年にさかのぼります。「グリニッジ」と聞いて思い起こされるのは、経度や時刻の基準点となるグリニッジ天文台でしょうか。公園はこの天文台を頂点になだらかな丘となっており、頂上からはロンドンの金融街やテムズ川を臨む最高の景色が広がります。
かの有名なグリニッジ天文台は、競技場から徒歩約10分。ゆるやかな坂を上ったところにあります。残念ながら、オリンピック期間中は公園への一般客の出入りが制限されているため、天文台や博物館内には入れませんが、職員の男性は「オリンピックが終わったら再開するので、そのときにまた来てください」と話していました。有名な観光地なので、通常であれば観光客で賑わうところなのですが、しばらくは静かな場所になりそうです。
ちなみに、グリニッジ天文台は英語で「Royal Greenwich Observatory」と書きます。ロイヤルということは、つまり王立の施設です。この格式高い公園内でオリンピックの馬術が実施されているということが、英国での馬術の伝統を表しているのではないでしょうか。
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